「最近、親の着替えに時間がかかるようになったな…」
「腕を上げるのが辛そうで、毎日のことだから何とかしてあげたい」
大切な親御さんのそんな姿を見て、心を痛めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。大切な人のふとした瞬間に、胸が締め付けられるような思いをしたことはありませんか? 歳を重ねるごとに増える体の悩みは、本人だけでなく、見守る家族の心にも影を落とすことがあります。
年齢を重ねたり、体に不調が出てきたりすると、今まで当たり前にできていた「服を着替える」という行為が、ご本人にとって大きな負担になることがあります。しかし、服の選び方をほんの少し工夫するだけで、その負担は驚くほど軽くなります。 そしてそれは、介助をするご家族の心と時間のゆとりにも繋がるのです。
この記事では、長年、高齢者向けのアイテムに携わってきた私の視点から、
なぜ着替えが大変になるのか、その根本的な理由
お体の状態・お悩み別に、どんな服を選べば良いのか
「いかにも」ではない、おしゃれも楽しめる服選びのコツ
などを、具体的な例を交えながら詳しくご紹介します。この記事を読み終える頃には、きっとあなたの親御さんにぴったりの、笑顔が増える一着が見つかるはずです。一緒に考えていきましょう。
なぜ? 高齢になると着替えが大変になる理由
まず、なぜ着替えが大変になるのか、その理由を知ることから始めましょう。原因がわかれば、対策も立てやすくなります。主な理由は、大きく分けて3つあります。
1. 身体機能の変化(筋力・柔軟性の低下)
年齢と共に、どうしても筋力は落ち、関節も硬くなりがちです。特に、腕を上げたり、後ろに回したりする動きは難しくなります。
私たちが無意識に行っている「Tシャツをかぶる」「背中のファスナーを上げる」といった動作も、肩や腕の可動域が狭くなると、痛みや困難を伴うようになります。
2. 病気や後遺症の影響(片麻痺・リウマチなど)
脳梗塞の後遺症による片麻痺や、リウマチによる指の変形・痛み、パーキンソン病による体のこわばり、そして五十肩など、特定の病気や症状が着替えを困難にしているケースも少なくありません。
指先に力が入りにくくてボタンが留められない、片方の腕が動かしにくい、といったお悩みは、ご本人の「自分でやりたい」という気持ちを削いでしまうことにも繋がります。
3. 生活スタイルの変化(座ったまま・寝たまま)
車椅子を利用している、あるいはベッドで過ごす時間が長くなると、立った状態で着替えることが難しくなります。座ったまま、あるいは寝たままの姿勢でいかにスムーズに着脱できるかが、服選びの重要なポイントになります。
【お悩み別】もう迷わない!着替えやすい服の具体的な機能と選び方
それでは、具体的なお悩みに合わせて、どのような機能を持った服を選べば良いのかを見ていきましょう。介助するご家族にとっても格段に楽になるポイントもご紹介します。
【腕や肩が上がりにくい方へ】「前開き」と「広いアームホール」が基本
腕を上げるのが辛い方には、頭からかぶるタイプのTシャツやセーターは大きな負担です。
前開きの服(フルオープン):
シャツやカーディガンのように、前が全開になるタイプが最適です。羽織るようにして袖を通せるため、腕を高く上げる必要がありません。介助する際も、前から楽に着せることができます。
ラグラン袖・広いアームホール:
肩の付け根に縫い目がない「ラグラン袖」や、腕の付け根部分(アームホール)がゆったりと作られている服は、腕を通しやすく、動かしやすいのが特徴です。窮屈さを感じさせず、快適に過ごせます。
前開きの服・ラグラン袖
【指先の力が弱い・動きが苦手な方へ】ボタンの工夫でストレスフリーに
「ボタンがなかなか留められない…」そんな小さなイライラは、毎日のことだと大きなストレスになります。
マジックテープ(面ファスナー):
軽い力で留めたり外したりできるので、指先の力が弱い方に最適です。最近では、見た目には普通のボタンがついているように見えるデザイン(飾りボタン)も多く、おしゃれを損ないません。
スナップボタン・マグネットボタン:
パチッと合わせるだけで留められるスナップボタンや、近づけるだけで自然にくっつくマグネットボタンも非常に便利です。
大きめのボタン・ボタンホール:
もしボタンタイプの服を選ぶなら、指でつまみやすい大きめのボタンで、ボタンホールも広めのものを選びましょう。
【ズボンの着脱が大変な方へ】座ったままでも楽な工夫が満載
ズボンの着脱は、立ったり座ったり、片足立ちになったりと、意外と複雑な動きを伴います。
ウエスト総ゴム:
これは基本中の基本ですが、やはり着脱が圧倒的に楽です。お腹周りを締め付けないため、長時間座っていても快適です。
脇全開(フルオープン)ファスナー付きズボン:
両脇がファスナーで大きく開くズボンは、座ったまま、あるいは寝たままでも着脱が可能です。介助する方にとっても、おむつ交換などが非常にスムーズに行えるため、介護の負担を大きく軽減してくれます。リハビリや通院時にも重宝します。
股上が深いデザイン:
車椅子に座った時に背中が出ないよう、股上が深めに設計されているものを選ぶと安心です。
「いかにも」は卒業!おしゃれ心を満たす介護服選びのコツ
「機能的なのはわかったけど、いかにも介護用というデザインはちょっと…」
そう思われるのは、ご本人も、プレゼントするご家族も同じですよね。幸い、最近では機能性とおしゃれを両立した「ケアファッション」と呼ばれる衣類が驚くほど増えています。
見た目は普通のおしゃれな服
前述のマジックテープの服も、一見しただけでは普通のシャツやブラウスにしか見えないデザインのものが主流です。上品な柄物や、きれいな色のカーディガンなど、お出かけ着としても楽しめるアイテムがたくさんあります。
明るい色や好きな柄で気分もアップ
顔色が明るく見えるきれいな色の服や、好きな花柄のチュニックなどを着ると、自然と心も華やぎます。外出する楽しみや、人と会う意欲にも繋がるかもしれません。「何色が好き?」「どんな柄が好み?」と、ぜひご本人の意見を聞きながら選んでみてください。
プレゼント選びで失敗しないためのチェックポイント
最後に、実際に購入する際に確認しておきたい実用的なポイントをまとめました。
素材: 肌触りが良く、伸縮性のある素材がおすすめです。汗を吸いやすい綿や、シワになりにくく洗濯が簡単なポリエステル混などを、季節に合わせて選びましょう。
サイズ: ジャストサイズよりも、少しゆとりのあるサイズを選ぶと着脱がしやすくなります。特に、重ね着をする季節は注意が必要です。
ご本人の意思の尊重: 最も大切なのは、ご本人が「着たい」と思える服であることです。サプライズも素敵ですが、「こんな服があるみたいだけど、どうかな?」と相談しながら一緒に選ぶ時間が、何よりのプレゼントになるかもしれません。
TCマートで人気の商品をご紹介
まとめ:最適な一着で、もっと笑顔の毎日を
この記事では、高齢の親御さんのための「着替えやすい服」について、お悩み別の選び方から、おしゃれを楽しむためのポイントまで詳しく解説しました。
毎日の着替えが楽になることは、単に身体的な負担を減らすだけではありません。「まだ自分でできる」という自信や自立心を支え、日々の生活の質(QOL)を高める、非常に大切な一歩なのです。そして、それは介助するご家族の負担を軽くし、お互いが笑顔で向き合う時間を増やすことにも繋がります。
大切な親御さんが、これからも自分らしく快適な毎日を送れるよう、ぜひこの記事を参考に、愛情のこもった一着を選んであげてくださいね。
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