入居する施設が決まると、多くの場合、施設から「入居時にご用意いただくもの」を書いたA4一枚の紙を渡されます。ところが、そこに書かれているのはたいてい「肌着 数枚」「上着」「ズボン」といったざっくりした品名だけ。いざ準備を始めると、「どんな服なら施設で使いやすいの?」「何枚そろえればいいの?」と手が止まってしまう方がとても多いのです。
施設での毎日は、ご自宅とは着替えの事情が違います。洗濯は施設や業者にまとめてお願いすることが多く、乾燥機(それも高温のドライ乾燥)にかけられます。着替えを手伝ってもらう場面もありますし、他の入居者の方とお洋服が混ざらないよう名前つけも必要です。ふだん着ていた服をそのまま持って行くと、「乾燥機で縮んだ」「かぶり服で着替えに時間がかかる」といったつまずきが起こりがちです。
この記事では、シニアファッション専門店キテコが、老人ホーム・介護施設に入居する70代・80代・90代のご家族のために、「衣類は何を・何枚・どう選べばいいか」を、A4リストの中身がわかるようにご紹介します。実際にご利用いただいたお客様の声や、商品同封のはがきに寄せられたご家族の生のご要望も交えてお届けします。
この記事の内容
まずは全体像|老人ホーム・介護施設の入居時 持ち物チェックリスト
衣類の話に入る前に、入居時に用意するものの全体像をおさえておきましょう。施設によって「用意するもの」「施設で借りられるもの」は異なるので、最終的にはお渡しされたリストと施設への確認が優先です。ここでは一般的な持ち物を早見表にまとめました。
入居時 持ち物チェックリスト(一般例)
- 書類・お金まわり:健康保険証・介護保険証・後期高齢者医療証/お薬手帳・現在服用中のお薬/印鑑/診療情報提供書など(※内容は必ず施設にご確認ください)
- 衣類・着替え:肌着・下着/普段着(上・下)/パジャマ・ホームウェア/羽織りもの/靴下/外出用の一張羅(※次の早見表で枚数を解説)
- 洗面・入浴:歯ブラシ・入れ歯ケース・洗面用具/タオル・バスタオル/くし・ひげそりなど
- 日用品:ティッシュ/室内履き(すべりにくいもの)・外出用の靴/めがね・補聴器・杖など/使い慣れた愛用品
- あると便利:時計・カレンダー/写真や小さな飾り/お気に入りのひざ掛けなど
この中で、多くのご家族がいちばん迷うのが「衣類」です。書類や日用品は「あるものを持っていく」で済みますが、衣類だけは「施設で毎日使えるかどうか」という視点で選び直す必要があるからです。ここからは衣類にしぼって、くわしく見ていきます。
衣類は何を何枚?入居時にそろえる着替えの目安量
「着替えは何枚あればいい?」は、施設への持ち物でいちばん多いご質問です。目安は「洗濯して戻ってくるまでの日数+予備」で1週間分。施設が洗濯代行をしてくれる場合でも、乾く前提でお洋服が回るので、多すぎても収納に困ります。下の早見表を目安にしてください。
着替えの枚数 早見表(1週間分+予備の目安)
- 肌着・下着:各7枚前後(毎日替える前提の1週間分+予備)
- 普段着(上):5〜7枚
- 普段着(下・ズボン):4〜5本
- パジャマ・ホームウェア:3〜4組
- 羽織りもの(カーディガン・ベスト):2〜3枚
- 靴下:7足前後
- 外出用の一張羅:1〜2組(通院・面会・行事用)
※食べこぼしなどで汚れやすい方は、上と下着を少し多めに。反対に、居室の収納スペースには限りがあるので、季節はずれの衣類は持ち込まず、衣替えのタイミングでご家族が入れ替えるのがおすすめです。
枚数の目安がわかっても、「その服が施設で本当に使えるか」は別の話です。ここがA4のリストには書かれていない、いちばん大切なところ。次の章で選び方のポイントを整理します。
施設で本当に使える服の選び方6つのポイント
ご自宅で着ていた服と、施設で毎日使う服は、選ぶ基準が変わります。実際にお客様から届いたはがきのご要望をもとに、失敗しない6つのポイントにまとめました。
① 「前開き・全開」が着替えの負担を減らす
頭からかぶる服は、腕や肩が上がりにくくなると着替えが一気に大変になります。あるお客様のはがきには「一人で着にくくなると、あっという間に介護度も上がりました」という切実な声も。前開き・全開タイプなら、ご本人が自分で着られる時間が長く続き、着替え介助も楽になります。かぶりタイプを選ぶなら、首まわりや袖口にゆとりがあるものを。
実際、「これから施設に入居する母に、かぶりではなく前あきでボタンのものを探している」「施設で介助する人から、伸びる生地でないと腕を通しにくいと言われた」というご要望も届いています。着替えの介助がある場合は、綿混で伸縮性のある前開きを選ぶと、着せる側の負担も軽くなります。
② 乾燥機対応かどうかは最優先で確認
これが施設服選びでいちばん大事なのに、いちばん見落とされるポイントです。施設の洗濯は業者による高温のドライ乾燥が多く、乾燥機不可の服は縮んだり傷んだりします。はがきにも「サービス付き高齢者住宅の洗濯がドライ乾燥機で、対応する服を探した」「施設の洗濯業者の都合で乾燥機OKの品がほしい」というご要望が数多く届いています。「施設の乾燥機はとてもよく縮む」「施設は洗濯後の乾燥機が基本で、市販では乾燥機OKがなかなか見つからず困る」という声も多く、パジャマや部屋着まで乾燥機対応を探すのに苦労されています。タグの洗濯表示で「乾燥機(タンブル乾燥)OK」を必ず確認しましょう。
選ぶコツ:迷ったら「乾燥機対応」と明記された施設向けの服から選ぶと失敗がありません。
③ ウエストは総ゴム、できれば「ゴム通し口」つき
体型やお腹まわりは日々変わります。総ゴムで締め付けの少ないズボンが基本。さらに「ゴムの取り替え口」があると、きつい・ゆるいをご家庭で調整できます。あるはがきでは「ウエストゴムが縫い付けで、ゆるくするのに苦労した。ゴム通しがしやすい縫製なら最高だった」という具体的なお声もいただきました。
④ 濃いめの色・柄物でシミを目立ちにくく
施設では食事の際の食べこぼしがどうしても増えます。「色が薄い服が多く、食事のときのシミが目立つので、色の濃い服・柄物がほしい」というはがきの声はとても多いもの。ネイビー・チャコール・えんじなどの濃い色や、小花柄などの柄物を1枚まぜておくと、洗濯までの間も気になりにくく安心です。
⑤ サイズはS〜3Lまで、丈は「短め」も視野に
ご高齢になると、やせて小柄になる方も、お腹まわりにゆとりが必要な方もいらっしゃいます。「やせてしまってSサイズがほしいのに、店ではM〜Lばかり」「腰の骨を折って身長が縮み、丈の短いものが助かる」といった声が届きます。S・XSから3Lまで幅広く選べること、パンツは股下の短いタイプがあることが、お直しの手間を減らします。
⑥ 「名前が書けるタグ」つきを選ぶ
施設では他の入居者の方とお洋服が混ざらないよう、すべてに記名します。毎回タグを縫い付けるのは大変。最初から名前を書けるネームタグがついている服だと準備がぐっと楽になります。はがきでも「名前を記入するタグが付いているのが good!」と好評でした。記名の具体的な方法はこの後の章でくわしく解説します。
はがきで届いたご要望に応えて選びました
この記事でご紹介する服は、上のポイント――前開き・乾燥機対応・総ゴム・濃い色や柄・S〜3L・名前タグ――を満たすものを中心に選んでいます。「冷房の効いた館内で羽織れる薄手を」「乾燥機対応のパジャマを」「濃い色でシミを目立たなく」といった、実際に寄せられたご家族の声にお応えする顔ぶれです。
施設の毎日に使えるおすすめの服6選(女性・男性)
ここからは、上の選び方ポイントを満たした具体的な服をご紹介します。すべて乾燥機対応・名前が書けるタグつきで、施設での毎日を想定して選んでいます。まずは着替えの中心になる女性向けから、後半に男性向けをご紹介します。
26件の★4.69・「前開き」も「かぶり」も選べる定番ポロ

乾燥機対応 婦人 鹿の子 選べる長袖ポロシャツ&全開ポロシャツ
5,990円(税込)送料無料
- 「全開(前開き)タイプ」と「かぶりタイプ」を選べるので、着替えのしやすさに合わせられる
- 斜めのボタンホール&大きめボタンで、指先が動かしにくくても留めやすい
- 綿混の鹿の子生地でシャキッと上品。アイロン不要でお手入れも簡単
- 洗濯機・乾燥機対応、名前が書けるタグつき
- カラー:パープル/ピンク/アイボリー/ワイン サイズ:S/M-L/LL
お客様の声(26件・★4.69)
- 「襟付きでかっちり。生地もしっかりしていて、シャキッとした感じがいいと思います」(母親用・施設入居)
- 「生地もしっかりしていて、しかし綿で、ラグラン袖、前開きと、全て揃っていました」(母親用・日常使い)
13件の★4.54・冷房の効いた館内で羽織れる前開きカーディガン
4件の★4.25・かがんでも背中が出ない「後ろ長め」カットソー

5,990円(税込)送料無料
- 後ろ丈が長めで、車いすや前かがみでも背中・腰が出にくい
- 薄手でさらりと軽く、カーディガンの下に重ねてもごわつかない
- ミニハイネックで首まわりをほどよくカバー、九分袖で腕まわりも楽
- 乾燥機対応・ネームタグつきで施設での使用にぴったり
- カラー:ラベンダー/ライトグレー/イエロー/ピンク サイズ:S/M-L
お客様の声(4件・★4.25)
- 「施設に居る母に買いました。見た早々に笑顔になり着替え始めました。いきなり着替え始めたのは施設入居以来、初の行動だったので良かったです」(母親用・施設入居)
- 「素材がさらさらしているので着心地がよいです。カーディガンの下に着るものとして、薄手なのでごわごわせず、合わせやすいです」(母親用・施設入居)
総ゴム&ゴム取替口・小柄さんにうれしい股下55cmパンツ

乾燥機対応 裾ファスナー開き 無地ストレッチパンツ 股下55cm
4,990円(税込)送料無料
- 総ゴムのやわらかウエスト+ゴムの取り替え口つきで、きつい・ゆるいをご家庭で調整できる
- 高ストレッチでさらりとした肌触り。立ち座りや着替えがしやすい
- 股下55cmで小柄な方も裾上げの手間が少ない。M〜3Lまで対応
- 裾ファスナー開きで足を通しやすい。乾燥機対応・ネームタグつき
- カラー:グレー/ブラック(濃いめでシミが目立ちにくい) サイズ:M/L/LL/3L
3件の★5.00・「全開タイプはなかなか無い」男性用ポロ

乾燥機対応 紳士 鹿の子 選べる半袖ポロシャツ&全開ポロシャツ
5,990円(税込)送料無料
- 「全開(前開き)」と「かぶり」を選べるので、通院・着替え介助のある方は全開が便利
- 斜めボタンホールで留めやすく、ラグラン袖で肩まわりが動かしやすい
- 綿混の鹿の子で夏も快適。脇スリット入りでもたつかない
- 乾燥機対応・名前が書けるタグつき
- カラー:オートミール/サックス/イエロー/ネイビー サイズ:S/M/L
お客様の声(3件・★5.00)
- 「父のプレゼント用に購入しました。ポロシャツの全開タイプはなかなか無いので、着やすいと喜んでくれています」(父親用・日常使い)
- 「父の日にプレゼントしたら、もう1枚色違いが欲しいと追加依頼がありました。着心地が良かったようです」(父親用)
4件の★4.50・ウエスト調整できる男性用スラックス

紳士用 乾燥機対応 ゴム入れ替え スラックス 股下64〜66cm
6,990円(税込)送料無料
- ウエストゴムを入れ替えられるので、体型の変化に合わせて調整できる
- 前開きファスナー+両脇ポケット+ベルトループで、見た目はきちんとスラックス
- ポリエステルツイルでシワになりにくく、通院や面会にも
- 乾燥機対応。春〜秋に活躍
- カラー:グレー/ネイビー サイズ:S/M/L/LL/3L
お客様の声(4件・★4.50)
- 「お洗濯も安心で、着心地も良いようです。全体的な対応も丁寧でよかったです」(父親用・日常使い)
名前つけ(記名)はどこに書く?施設で困らない記名のコツ
「持ち物にはすべて名前を」と言われても、洋服のどこに、どうやって書けばいいかは意外と迷うところ。施設で混ざらず、はがれず、見た目もすっきりする方法をまとめました。
書く場所は「洗濯表示タグ」か「専用ネームタグ」
いちばん確実なのは、衿ぐりの内側にある洗濯表示タグ、または名前を書く専用のネームタグです。外から見えず、洗濯や乾燥でもはがれにくい場所です。キテコの施設向けの服の多くは、最初から名前を書けるネームタグがついているので、そこに書くだけで準備が済みます。
あるご家族からは「施設のスタッフがひと目で分かるように、名前を書けるタグを付けてほしい」というご要望もいただきました。小さな洗濯表示だけだと介助スタッフに伝わりにくいので、スタッフが見てすぐ分かる位置・大きさで記名しておくと、他の入居者の方との取り違えを防げます。男性用のズボンなどは「名前を書けるスペースが大きいもの」を選ぶと書きやすく安心です。
書き方は「油性ペン」か「お名前スタンプ・アイロンシール」
手軽なのはにじみにくい布用の油性ペン。枚数が多いときはお名前スタンプやアイロン接着のお名前シールが便利です。文字は、施設のスタッフが誰でも読めるよう大きめ・はっきりと。漢字よりも、ぱっと読める書き方が安心です。
ズボン・靴下・肌着も忘れずに
上着だけでなく、ズボン・肌着・靴下・タオルまで、洗濯に出すものはすべて記名が基本です。小さな靴下は、はき口の内側にお名前シールを貼ると取れにくくなります。入居前にまとめて記名しておくと、入居当日があわてずに済みます。
迷ったときの準備ガイド|状況別・どれから選べばいい?
「結局どれから準備すればいいの?」と迷ったら、ご本人の状況で選ぶのが近道です。
入院・急な入居で、とにかく早く着替えをそろえたい方
まずは上下がそろう組み合わせと、前開きの羽織りから。かぶりが苦手でも着られる前開きポロと、上に羽織れるカーディガンがあれば、当面の着替えが回ります。
まず用意するなら:選べるポロ(前開き)+前開きカーディガンで、着替えと寒さ対策の両方をカバー。
ご本人がまだ自分で着替えたい方
自立度が高い方には、ご本人が留めやすい大きめボタン・全開タイプを。自分で着られる時間が続くことが、いちばんの自立支援になります。男性用の全開ポロのように「全開が選べる」商品がおすすめです。
着替えの介助がある方
介助がある場合は、前が全部開くタイプで、腕を通しやすいものが扱いやすくなります。ボトムスは総ゴムのストレッチパンツのように、立ち座りしやすく上げ下げが楽なものを。
冷房・暖房の効いた館内で過ごす時間が長い方
施設は空調が効いているので、夏でも肌寒く感じることがあります。脱ぎ着で調整できる薄手の羽織りを必ず1枚。前開きカーディガンが一枚あると、体温調整がぐっと楽になります。
避けたほうがよいもの:乾燥機不可の服(縮み・傷みの原因)/首まわりや袖がきついかぶり服/ボタンが小さく数が多い服/淡い色ばかり(食べこぼしが目立つ)。
よくある質問
Q. 施設に持っていく服は、何枚くらい必要ですか?
A. 洗濯して戻るまでの日数+予備で、1週間分が目安です。肌着・下着・靴下は各7枚前後、普段着の上は5〜7枚、ズボンは4〜5本、パジャマは3〜4組、羽織りは2〜3枚が目安。居室の収納には限りがあるので、季節はずれの衣類は持ち込まず、衣替えで入れ替えるのがおすすめです。
Q. 服の名前はどこに書けばいいですか?
A. 衿ぐり内側の洗濯表示タグか、名前を書く専用のネームタグがおすすめです。外から見えず、洗濯や乾燥でもはがれにくい場所です。書き方は布用の油性ペン、枚数が多いときはお名前スタンプやアイロンシールが便利。スタッフが誰でも読めるよう大きめ・はっきりと書きましょう。ズボン・肌着・靴下・タオルまですべて記名するのが基本です。
Q. 乾燥機に対応していない服だとダメですか?
A. 多くの施設では洗濯を業者や施設側でまとめて行い、高温のドライ乾燥機を使います。乾燥機不可の服は縮んだり傷んだりしやすいため、施設用は「乾燥機(タンブル乾燥)対応」の服を選ぶと安心です。ご本人やご家族が個別に手洗いできる場合を除き、まずは乾燥機対応から選ぶのがおすすめです。
Q. 前開きとかぶり、どちらを選べばいいですか?
A. 腕や肩が上がりにくい方、着替えの介助がある方は前開き・全開タイプが断然楽です。ご自身で問題なく着替えられる方は、かぶりタイプでも首まわり・袖口にゆとりがあれば大丈夫。迷ったら「前開きとかぶりを選べる」ポロシャツを選ぶと、状況が変わっても対応できます。
Q. 靴や室内履きはどう選べばいいですか?
A. 室内履きは、脱げにくくすべりにくいものを。着脱が楽なマジックテープ式なら、ご本人も自分ではきやすくなります。外出用の靴も一足あると、通院や面会のときに便利です。いずれも名前を忘れずに記入しておきましょう。
まとめ
- 施設から渡される持ち物リストは品名だけ。衣類は「施設で毎日使えるか」で選び直すのが大切
- 着替えは1週間分+予備が目安(肌着・下着・靴下は各7枚前後)
- 選び方の核は6つ:前開き・乾燥機対応・総ゴム・濃い色や柄・S〜3L・名前タグ
- いちばん見落とされるのは「乾燥機対応」。施設の洗濯は高温乾燥が多いので必ず確認を
- 名前は衿ぐり内側のタグに大きくはっきり。ネームタグつきの服を選ぶと準備が楽
- 迷ったら「前開き・全開が選べる」服から。状況が変わっても長く使えます
施設への入居は、ご本人にとってもご家族にとっても大きな節目です。着慣れて、洗濯にも強く、名前もつけやすい服を用意しておくことは、離れて暮らすご家族の安心にもつながります。キテコは、そんな施設での毎日に寄り添う服を、これからもご用意してまいります。
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